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鴎座俳句会&松田ひろむの広場

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俳句における添削と著作権

俳句における添削と著作権 松田ひろむ(2006/08/25)
俳句においては、俳句雑誌に投稿(投句)その場合、その投句された作品に対して当然のように、選者によって添削が行われる場合がある。これについて、投句者にすれば添削を感謝こそすれ、著作権侵害と考えることはなかった。これは後述、判例によれば芭蕉以来の慣行であった。
ところが、「NHK俳壇」に投句した方が、選者によって添削されたことを、著作権侵害、著作人格権の侵害として、裁判に訴える事例があった。

民法第92条には「法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。」とあり、俳句の添削が著作権侵害として争われた事件で俳句における添削の慣習が認定されている。
以下は著作権侵害差止等請求控訴事件、東京高裁平成九年(ネ)第四一四六号、平成一〇年八月四日判決の判決理由の抜粋である。これは一審も同様である。
「添削及び掲載についての事実たる慣習が存在したか否かは、控訴人がそのような事実たる慣習を現実に知っていたか否かとはかかわりのない客観的事実の問題である。そして、事実たる慣習が認められる場合には、当事者間において特にこれを排斥しあるいはこれに従わない旨の意思が表明されていない限り、慣習によるとの意思があったものとして法的に取り扱われることがあり得るのである(民法九二条)。(三)著作権の同一性保持権を規定する著作権法二〇条は、民法九二条にいう「公ノ秩序ニ関セサル規定」、すなわち任意規定であると解される。さらに、本件において控訴人が本件各俳句を投稿するに当たり、添削をした上で採用されることを拒む旨の意思を表明したとの事情はうかがわれないから、民法九二条にいう「当事者カ之ニ依ル意思ヲ有セルモノト認ムヘキトキ」に当たると認められる。」とある。
添削については、明示の断りがなくても、選者によって添削することが認められたわけである。

ここでは「(1)俳句の世界において、選に際して選者が芸術的な観点や指導上の見地から必要と感じたときに添削を行うということは、古く松尾芭蕉以来行われており、その点は、我が国近代俳句の創始者とされる正岡子規以後も同様である。(乙第一号証(かつらぎ平成八年一一月号)、乙第二号証(俳文学大辞典)、乙第三号証(去来抄)、乙第二一号証の一ないし三(子規全集四巻)、乙第二三号証の一ないし四(山口誓子「俳句鑑賞の為に」))」
と判断されている。



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